私たちライトアニマルチームは8月31日から9月8日にかけて、
IUCN WCC(国際自然保護連合 第6回世界自然保護会議)に参加する為にハワイに行きました。
IUCN WCCでの2回のセッションと、同時開催されたNOAA(アメリカ海洋大気庁)の夜間イベントでライトアニマルの展示を行いました。
ハリケーンに見舞われたり、細かいハプニングも多々ありましたが、展示は成功させることができ、
来場者からは高い評価を得ることができました。動物展示問題を含めた多くのコメントをいただいたり、様々な方々とのつながりが得られたこともとても大きな収穫となりました。
ハワイには展示を行う数日前に到着しました。 早速WCCが行われるハワイコンベンションセンターに行き、ここでの展示のサポートをしていただくコーディネーターと合流しました。 出発前には会場の様子や機材の詳細など判らないことが多く不安も多かったのですが、 友好的な現場のスタッフのプロフェッショナルなサポートのおかげで無事に設営、調整、リハーサルをすることができました。
NOAAのイベント会場であるヒルトン・ハワイアン・ビレッジ・ビレッジホテルの中庭に行き、ホテル会場のコーディネーターと打ち合わせを行いました。
展示会場になる中庭の芝生スペースは、ハワイならではの心地良い雰囲気でした。
ところが打合せを終えてホテルに戻るやいなや、ハリケーン接近のため、イベント会場を屋内のホールに変更するとNOAAからの知らせが…。
新しい会場についても詳細は未定のままで、広報も間に合いません。不安を募らせつつも、とりあえずやれることはやろうと、最終調整作業を続けました。
IUCNで最初の展示を行いました。まずスポンサーを紹介し、解説ビデオを上映。 機能や動物保護や教育における価値を説明した後、ライトアニマルの実演を行いました。 説明不足だったこともあり、来場者は初めのうち、スクリーンを前にどうしたらよいのかわからず、戸惑う様子が見られました。 徐々に理解が得られると、非常に好意的な反応が得られました。
IUCNセッションが終わってすぐにホテルに移動し、NOAAのイベントに合流しました。 当初は園児たちを招き、イルカと交流させる予定になっていましたが、開始時間が遅いため中止となってしまいました。 来場者は招待された関係者が中心でした。 さらにライトアニマルは4時間のイベントの最後の演目で来場者は疲れており、 残念ながら明瞭な反応は得られませんでした。 予定していた屋外での展示が出来れば、結果は違ったのではと悔やまれます。
IUCN会場で2度目の展示。前日の反省を踏まえ、予め子供に声を掛けて会場に来てもらいました。 また、展示中も解説を行いました。来場者はスムーズに理解をし、反応は大変良好でした。 ライトアニマルの本質に迫る質問もあり、良いセッションになりました。
IUCN WCCでの来場者は合計で50名前後でした。 著名人のセッションが目白押しの中で、無名の出展者である事を考えれば十分な数だと考えています。 来場者の全員がライトアニマルに好意的で、各セッションの終わりには大きな拍手を得られました。 来場者はハワイ大学の学生、教育組織の関係者、保護活動家、ライターの方などでした。 いずれも生き物教育に関心を持つ人たちでした。来場者からは機材や、日本での反応や、動物の動きについて質問や意見をいただきました。
展示前の事前説明や実際にご覧いただいて気がついたのは、ライトアニマルをどのように見ればいいのかや、どのような価値がかるのかが直感的にわかりにくそうだということでした。 動物教育や展示において3DCG、インスタレーション、インタラクティブ性はまだ新しい手法であり、 それらを組み合わせたライトアニマルの価値は一見しただけでは伝わりにくいようです。 解説はもっと丁寧にする必要があると感じました。
もう一つ気になったのは、ライトアニマルの動物に命令して操ろうとする人が(教育関係者にさえ)多くいた事でした。 動物に興味を持ってもらうアプローチの一つとして、動物に擬人的なリアクションや人間が好むリアクションをさせることはあっても良いと考えています。ですが バーチャルとはいえ、人の言いなりに動く野生動物を見せる事はライトアニマルの 本来の目的ではありません。 飽きさせず、興味を持たせることができ、非現実的ではない、そのようなインタラクティブ性をどのように実現させるかについては、今後も模索を続けたいと考えています。
今回の展示の最大の収穫は、ライトアニマルのコンセプトとクオリティが世界に通用すると自信を持てたことです。 特に教育での利用に大きな可能性を来場者は感じているようでした。 次のステップに繋がりそうな出会いもあり、今回の展示はライトアニマルの大きなターニングポイントになりそうです。
すべての展示が終わったその足で、皆で打ち上げをしました。展示が終わるまでは全員が目の前のことに必死でしたが、 ようやくIUCNのイベントやハワイ自体を楽しむことができました。
翌日からはスタッフがそれぞれ、WCCのパビリオンを見学したり、 ホノルル水族館、ホノルル動物園、シーライフパーク、ハナウマ湾自然保護区などを見学に行きました。 特にホノルル水族館では、世界でここにしかいないハワイモンクアザラシを間近で観察する貴重な機会を持つことができました。
ライトアニマルのIUCN WCC参加は以下の団体の資金援助によって実現しました。
NOAA, WCS, TETHYS, EULABOR INSTITUTE, INTERNATIONAL COMMITTEE ON MARINE MAMMAL PROTECTED AREAS, MARINE MAMMAL PROTECTED AREAS TASK FORCE
ライトアニマルへの理解と、企画への賛同を頂いたことに、お礼を申し上げます。
また、ハワイでは以下の人々に助けて頂きました。
コーディネーターのNaomi McIntosh様、Lee-Ann Choy様、Janet Maduli様。
ナビゲーターを引き受けてくださったGiuseppe Notarbartolo di Sciara様。
通訳補助を引き受けてくださった友松こずえ様。その他大勢の方々に助けていただきました。
国際会議での初めての展示を成功することが出来たのは、皆様のお陰です。
最後にこの展示を企画し、資金を集め、途中急病で入院しながらも終始支援していただいたErich Hoyt様に、 心からの感謝を捧げたいと思います。本当にありがとうございました。
名称 | ライトアニマルマジック:海中のクジラの故郷(Light Animal Magic: Homes for Whales in the Sea) |
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概要 | IUCN世界自然保護会議内のセッションとして、ライトアニマルの実演を行います。 観覧無料(ただし会議への入場が必要)。詳細は公式サイトをご覧下さい。 |
日時 | 2016年 9月 2日 13時00分~14時00分 2016年 9月 3日 13時00分~14時00分 ※時間が変更されましたのでご注意ください。(2016.8.24 0:18 追記) |
場所 | ハワイコンベンションセンター内 リリウシアター(301号室) |
名称 | ワイキキビーチ夕暮れの集い:ザトウクジラたちの帰郷 (Humpbacks return early to Hawai`i for a Special Appearance at Sunset on the Beach in Waikiki) |
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概要 | IUCN世界自然保護会議と同時に行われるNOAA主催の生物保護啓発イベントです。
会場にスクリーンを設営し、ライトアニマルを投影する他、IMAX映画上映や研究者によるハワイの海棲哺乳類の解説などが行われます。 観覧無料。詳細は公式サイトをご覧下さい。 |
日時 | 2016年9月2日19時30分~21時30分 |
場所 | ヒルトン・ハワイアン・ビレッジ・ホテル内ラグーン特設会場 |
IUCN(国際自然保護連合:International Union for Conservation of Nature)は、 1948年に設立された、自然保護と資源の持続的利用を目的とする国際組織です。 12000以上の政府組織やNGOが会員となり、約11000人の科学者と専門家が働いています。
IUCNの使命は、"自然を尊び、保全する公正な世界"を目指し、"自然が持つ本来の姿とその多様性を保護しつつ、
自然資源の構成かつ持続可能な利用を確保するため、世界中のあらゆる社会に影響を及ぼし、勇気づけ、支援していくこと"です。
絶滅のおそれがある動植物をまとめたレッドリストやレッドデータブックを作成する組織として一般には知られています。
[公式サイト]
IUCN, International Union for Conservation of Nature
IUCN世界自然保護会議は4年に一度開かれる国際会議で、IUCNの4年間の活動の指針となる計画を作成します。
2016年度はハワイコンベンションセンターで 9月 1日 ~ 9月 10日の日程で開催されます。
NOAA(アメリカ海洋大気庁:National Oceanic and Atmospheric Administration)はアメリカの政府機関の一つで、 海洋と大気に関する調査と研究を行います。水産資源や環境の保全・保護も担っており、啓発活動も活発に行っています。
[公式サイト]
NOAA